変形性股関節症|レイクタウン整形外科病院|人工関節置換術 骨切り術

変形性股関節症

股関節の病気について

ひざの病気につい

股関節は、太もも(大腿骨)の上端の丸い骨頭が骨盤のくぼみ(寛骨臼)にはまり込むようになって、関節を形づくっています。股関節は周囲の筋肉によって前後、左右、あるいは回旋運動と6方向に動かせるので、自在に動かすことができます。
また、股関節は身体の中で最も大きな関節で体重を支え、様々な動作をこなす要ともいえる関節であるため、股関節に障害が生じると大腿四頭筋力の低下や靭帯の弛みにより関節内に不安定性が生じ、下肢アライメントが崩れ、加齢や過剰な体重により軟骨変性が進むことが股関節の痛みの原因となります。

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

変形性股関節症は、加齢による変化の一つで、男性よりも女性に多く見られます。現在年間約5万件の人工股関節置換術が日本で行われており、その8割が女性と言われています。その多くの症状は、関節を滑らかに動かすために骨の表面を覆ってクッションの働きをしている「関節軟骨」が、何らかの理由によりすり減ってしまうために起こります。進行すれば軟骨を支えている骨(軟骨下骨)も削れてきて球状であった骨頭部が楕円形に変形し歩行の障害が進行します。
原因は、先天性股関節脱臼の後遺症、臼蓋形成不全症(※)、他に関節リウマチ、外傷、特発性大体骨頭壊死等の2次性の変形性股関節症が日本では多く見られます。
近親者の中に先天性股関節脱臼や股関節に疾患を持つ方がいる場合には、臼蓋形成不全症の可能性が高くなります。
主な症状は、立ち上がり等の初動時痛や歩行時痛で、症状が進むと変形が生じ、股関節の動きも制限(可動域制限)され、靴下を履く時や和式のトイレの時の様な動作が困難となり、脚長差を生じてきます。
(※臼蓋形成不全症とは、股関節を形成する受け皿の形成が悪くなっている状態)

症状の進み方

初期

「脚(足)の付け根に痛みが生じる」

立ち上がりや歩き始めに「脚(足)の付け根に痛み生じる」という症状が、最も早く現れます。しかしこの痛みは、歩いていると痛みがなくなる場合がほとんどです。なお症状の進行は、人によって様々です。

中期

「股関節の痛みが強くなり、困難な動作がでてくる」

初期の症状をそのまま放置してしまうと、進行し症状が悪化していきます。まず、「歩行時などの動作中に痛みをはっきりと自覚」するようになります。靴下を履くとき、脚(足)の爪切り、正座や和式トイレなど、しゃがみこむ等の動作が困難になるといった症状がでます。また、股関節に負担のかかる動きをすると骨同士が当るような感じを受けることもあります。また、痛みの部位も股関節の他に、腰部、殿部、大腿部、膝などに痛みを感じることもあります(関連痛)。

末期

「脚(足)の付け根が伸びなくなる」

末期になると日常生活に支障が起こるほどの痛みになります。そのため「仕事をする」「買い物に行く」「ゴミ出しをする」など、社会活動が思うようにできなくなります。活動範囲が狭くなり、外界からの刺激が少ない生活になります。また、徐々にストレスがたまりますので、体重が増加したりうつ状態に陥りやすくなったりします。高齢者の方の中には、家の外に出ない生活が続くと、認知症の症状が現れてくる人もいます。末期症状では、骨の変形が相当進んでいますので、脚(足)の付け根が伸びなくなり、膝頭が外を向くようになります。また、外見的にも左右の脚(足)の長さが異なります。

予防

近親者に股関節疾患を持つ方がいらっしゃる場合には、病院での受診をお勧めします。また、体重のコントロールや下肢を広げる筋肉(中殿筋)に、ゴムチューブなどで股関節外転筋力を強化するトレーニングも疾患予防に有効です。

保存的治療

保存療法にはリハビリテーション(理学療法)・薬物療法などがあり、これらを組み合わせて行われます。手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されます。

日常生活指導

減量などで股関節の負担を減らす

  • 正座、長時間歩行、階段昇降等痛みを生じる動作は控える。
  • 杖などを使用し、股関節にかかる負担を軽くする。
  • 減量は、股関節負担軽減の効果が大きい

※変形性股関節症の患者さんは、どうしても運動することがおっくうになり、肥満傾向になります。

理学療法

股関節周囲の筋肉強化

  • 大腿骨四頭筋(太ももの前面筋肉)の強化をする。
  • 屈曲拘縮(伸びない)の改善をする。
  • 水中ウォーキング、水泳などで股関節周辺の筋力増強を行う。

※適切な運動療法を行うことにより、体のバランスが改善したり、関節まわりの筋肉が鍛えられたりします。その結果、股関節の安定性が増し負担軽減され、痛みがやわらぎます。

薬物療法

消炎鎮痛剤で痛みや炎症を抑える

  • 消炎鎮痛剤を内服する。
  • 外用剤(湿布)を服用する。
  • 関節内注射(鎮痛作用)をする。

手術を受ける判断について

変形性股関節症で、股関節に強烈な痛みを感じない患者様の場合、保存的治療を長期間継続し、手術に踏み切れない場合が多くみられます。痛いのを我慢し、約3ヶ月~半年間にわたり保存療法を行っても痛み等の症状が改善されない場合や、周囲の関節の痛みが増強して来た場合は、手術療法を検討されてみるのも選択肢の一つです。
特に関節温存手術をご希望される方は、早い時期に受けた方が手術結果に対する満足度も上がります。また、心疾患、糖尿病等の合併症がある方は、内科医のサポートを受け手術に挑まれる方が良い場合もあります。痛みを我慢せず、担当医にご相談ください。

外的治療

手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されます。
外科的治療は大別して、関節温存手術と人工股関節全置換術(total hip arthroplasty: THA)の2種があります。

関節温存手術

curved periacetabular osteotomy (CPO)

寛骨臼回転骨切り術の一つで、福岡大学病院長の内藤正俊先生が考案された方法である。殿筋群を骨盤外壁から剥離しないので、筋力低下が少ない。適応は臼蓋形成不全による変形性股関節症の前期から初期の症例である。手術時年齢は中学生〜閉経後前後までとしている。
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Spitzy法

棚形成術の一つで、腸骨より採取した骨を関節包の上から腸骨外壁に、「屋根」を作るように打ち込む方法である。CPOでは関節軟骨で大腿骨頭が被覆されるのに比し、Spitzy法では関節軟骨で被覆されないが、手術侵襲や出血が少ない利点がある。術前から存在する亜脱臼を改善し、骨頭の内包化を図る事は不可能なため、進行期の症例に適応は無い。また臼蓋軟骨下骨に骨硬化の強い例や骨嚢胞の存在する例は適応とならない。

人工股関節全置換術 (THA)

変形した股関節を、金属や高分子ポリエチレン、セラミックス製の人工部品で置き換える手術です。進行期末期〜末期変形性股関節症で、痛みが強く立ち上がりや歩行等日常生活に支障を来した場合に行われます。痛みが無くなる、動きが良くなる、脚長差を補正出来る等の利点がありますが、感染、脱臼、器械の摩耗や破損による部品交換の可能性があります。痛みに対する切れ味が良い一方、人工関節なので寿命がありますが、現在では30年成績を目指す発表も散見されています。
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