アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎は、使いすぎによるオーバーユース症候群のひとつで、スポーツ障害としては頻度の高いものです。
繰り返しのストレスによりアキレス腱に微細な部分断裂や瘢痕化(はんこんか/きずあと)が生じ、腱の変性が認められます。

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の症状
アキレス腱はパラテノンという薄い膜でおおわれていますが、この部分に炎症を生じた場合をアキレス腱周囲炎といいます。
この両者は同時に発症していることも多く、厳密に区別することは難しいこともあります。
加齢変化のひとつである腱の変性がベースにあるため、中年以上の市民ランナーやウォーキングをしている人に多く発症します。また、アキレス腱の使いすぎが原因していることから運動量と発症には密接な関係があり、不適切なトレーニング方法が原因していることもあります。 また、靴の不適合や扁平足(へんぺいそく)などの足部変形も原因のひとつになります。かかとへの付着部から上方2〜6cm部分のアキレス腱が腫脹(しゅちょう)し、押さえると痛みが増強します。運動したあとや朝起きた時の歩き始めに痛みが強く、症状が進行すれば安静にしていても痛いことがあります。
足関節を背屈(はいくつ)することで疼痛(とうつう)が増強します。
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の治療
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の初期の段階の治療では、アキレス腱への負荷を軽減するため過度な運動を中止し日常生活でも安静にします。また、鎮痛作用のある外用薬(湿布など)や内服薬を処方します。医師の指示のもと、リハビリによる足のストレッチやふくらはぎの筋力トレーニング、テーピング、ヒールパッドなどの装具の装着、運動後にアイシングされるなども効果的です。
これらの治療を経て効果が得られなければ、患者さまと相談の上、疾患部位にステロイドなどの注射などを行うこともあります。
但し、6ヶ月以上の保存加療を行っても継続的に痛みがある場合、保存加療での完治が難しいと判断し手術治療を提案いたします。