人工関節置換術の適応する関節 股、膝、足、踵(かかと)、肩、肘、指など 変形性関節症、関節リウマチ、骨壊死等で軟骨がすり減って変性した関節面を取り除き、関節の再建のために人工材料であるセラミックや金属、高分子ポリエチレン等に入れ替える手術です。 虫歯の治療として、病変部を削り金冠をかぶせるのと同じと理解されると分かりやすいです。 当院では両側同日に手術対応することができます 両側に症状はあるが、お仕事のご都合等で片側ずつ2回の手術を予定する事が難しい方、又は1度で両側の治療を行いたい方等に対して当院では、両側同日の手術を行っています。 未来ある「あし(下肢)の治療」 当院で治療された患者様の症例を掲載しております。 人工関節置換術について 手術後について 手術適応ついて 利点・欠点 人工関節置換術について 手術について 股関節15cm、膝関節18cm・2時間・3週間 ※あくまでも平均的な数値となり、個人差がございます。 手術創 股関節 後方アプローチで行うため、太ももの横に15cm程の長さとなる事が多いです。 膝関節 膝の真ん中に18cm程の長さとなることが多いです。 手術時間 実際の手術時間は、股関節・膝関節共に2時間前後です。 入院期間 股関節・膝関節共に通常の手術で約3週間です。 (患者様の予後の状態や体力などの個人差がございます。) 手術のコンセプト 解剖学的に正しい位置での機能再建と骨温存 師匠(えにわ病院/ 増田武志先生)の教えを守り、 1) 膝・股関節を元の場所に再建する。 2) 次の手術がある事を想定した初回手術を行う事を大切にして手術する。 積極的に、臼蓋骨(きゅうがいこつ)に自家骨移植を行い、関節の回転中心を再建すると共に骨温存に努め、人工股関節置換術は、大腿骨側にはセメントステムを採用し「比較的容易に抜ける」人工関節置換術を行っています。 人工関節置換術の実際 「人工関節置換術」というと関節全部が人工物に入れ替わるイメージの方もいらっしゃいますが、実際は関節面の表面置換です。 ※再置換術の対象となる患者様や患者様の病気の進行具合により、全置換術を必要とする患者様もいらっしゃいます。 膝関節 膝関節には大きく3つの関節面、すなわち「外側の関節」「内側の関節」「お皿の裏の関節」があります。 それぞれをコバルトクロム+チタン合金機種により、セラミック材の性質を持つオキシニウムで表面加工された大腿骨側と脛骨側インプラントと超高分子ポリエチレンで出来たクッションで置換します。 虫歯の治療で、悪い歯の部分を削って金冠をかぶせるイメージです。 術後の関節可動域は、術前の可動域と「どれだけリハビリを頑張るか」にかかってきます。 待っていても膝は曲がるようにならないので、積極的なリハビリが必要です。一般的な目標は0~100°です。 近年膝の中間屈曲位の40~70°前後での安定性が、術後の満足度に大切であるとされていることから軟部組織バランスに注意して手術を行っています。 股関節 人工股関節は傷んだ大腿骨頭を切除し、金属の骨頭に交換し、傷んだ臼蓋も人工のコンポーネントに交換します。 臼蓋側は金属製のカップの中に、特に磨耗に強いとされている特殊なポリエチレン製のカップをクッションとしてはめ込んだ構造となっています。人工股関節の固定方法として、セメントを用いる方法と、用いない方法がありますが、患者様の状況により対応方法は異なってきます。 また、手術後、骨が人工関節表面に入り込み固定されていきます。骨と金属が固定されるまでは、数か月、必要ですが、術後早期から体重をかけることが可能となります。人工股関節置換術後の可動域目標は、伸展10°、屈曲100°で、「横座り」はできませんが、正座を含む、回転中心を解剖学的に正しい位置に再建することで、除痛だけでなく機能再建をさせます。積極的に骨移植を行い、骨の温存につとめます。セメントステムを使用し抜去できる人工関節手術を行っています。一般的な日常動作はできます。 人工関節置換術の手術をされることを迷われている患者様へ 人工関節を用いた手術を体験された方から、これから手術を受けられる方へのメッセージムービーです。 ※患者様の治療の状態や症状によって個人差がございます。 ※当院での治療を促すためのムービーではございません。「あし(下肢)」の治療に不安を持たれている患者様へ治療の「きっかけ」になることを願って掲載しております。 人工関節(じんこうかんせつ)とは 高度に機能が障害された関節の再建のために人工材料を用いて置換したもの、およびその方法のこと。 1951年にMcKeeが金属同士による人工股関節を作った。その後、1961年に英国のチャンレーが現在の人工関節の基礎となる人工股関節を発明しました。 Sir John Charnley, CBE, FRS[3] (29 August 1911 – 5 August 1982) was a British orthopaedic surgeon. John Charnley is recognised as the founder of modern hip replacement. His contributions to the field are found in the hip replacement surgery method, in the optimization of the surgery flows and in the drastic infection rate decrease. Through his teaching activities, he transmitted his technique and knowledge to a wide audience of international surgeons and thus his academic and scientific work was spread worldwide.[47] 人工関節トータル市場 市場概要 人工関節市場規模2015年度ユニットベースで0.2%アップの210,873セット、2016年度2.9%アップの217,066セット見込み、販売額ベースでは2015年度が1.9%ダウンの1,003億52百万円、2016年度も0.1%アップの1,005億1百万円見込みにとどまる(2016年度は矢野経済予測)。 【企業別動向】 上位5社のユニットベースシェアは、2015年度で76.8%、2016年度各社計画値で75.1%見込み、販売額シェアでは79.1%、2016年度78.1%見込み リビジョン:カスタムオーダー市場 股関節リビジョンは1,203セット、膝関節は1,492セット 株式会社矢野経済研究所調べ 股関節 市場動向 2015年度ユニットベースで2.9%アップの12.50万セット、2016年度は3.0%アップの12.87万セット見込み(各社見込みトータル:6.4%アップの13.30万セット) 企業別動向 人工関節ユニット数に対して、年間5,000セット以上の上位8社で87.7%、2016年度86.7%の市場占有率に THA:THR市場動向 2015年度ユニットベースで2.1%アップの56,941セット、2016年度4.0%アップの59,230セット(各社見込み値トータル:10.5%アップの62,903セット)臼蓋側のセメントレスは92.4%、ハイブリッドは5.1%THA:THRカップのクロスリンクポリエチレン市場:2015年度51,773個、2016年度55,903個見込み ※THA:THRのヘッドサイズ:「32mm」以上が増加で、2016年には70%強の割合に 膝関節 市場動向 2015年度3.4%ダウンの80,400セット、2016年度2.5%アップの82,371セット見込み(各社見込み値トータル:10.2%アップの88,584セット)手技別動向:2015年度セメント固定が85.5%モバイルタイプは2015年度もマイナス実績の8,407セット、2016年度8,653セット見込み、HAコーティングタイプは3,230セット、2016年度:3,480セット見込み片側置換:2015年度3.8%アップの7,451セットにとどまる(2016年度:7,815セット見込み) ※人工膝関節の手技別(CR,PS,CS)症例数:CR+BCR症例の増加が続く パーツ別 市場動向 ステム セメントレス:セメント固定は87.4:12.6に HAコーティング・アルカリ加熱処理ステム:企業戦略の二極化がある中、2015年度は新製品のアップもあり39,226本、2016年度41,527本見込み HA・AWガラスコーティング・アルカリ加熱処理カップ:2015年度20,501ケ、2016年度21,195ケ見込みにとどまる ジルコニアヘッド:2015年度2,966ケ、2016年度2,800ケ見込みの一方、ZTAは2015年度40,793ケ、2016年度51,195ケ見込み セラTOセラ:2015年度4,419セット、2016年度4,467セット見込み 手術後について 20年前と比べると歩行開始が圧倒的に早くなった 手術成績は非常に安定しています。 ほぼ確実に痛みから開放され通常の生活が出来るようになります。手術内容にもよりますが、基本的には翌日より離床・リハビリ開始し2~3日目には入浴可となります。 但し、quality(クオリティー)を高めるためには、ご本人が「歩きたい、生活を維持したい、旅行に行きたいので頑張る」という気持ちを持ち続け、筋力や可動域の回復のため日々自分でリハビリして行く事が必要です。 そのために看護師や理学療法士も様々な角度から支援いたします。何よりもご本人のやる気が大切です。 人工関節の寿命 股関節は術後30年、膝関節は術後 20年以上の成績を目指す 人工股関節置換術では、我々の医局で1990年代に初回手術を行った人工股関節置換術手術成績では、130関節行い、人工股関節置換術後、平均14.5年の生存率が約93%でした。残りの約7%の患者様がやり直しの手術をされたという結果です。 この人工関節置換術のシリーズでは、金山先生のPre-cut法を採用し、中間圧曲域(40~70°)での挙上角を向上させています。人工膝関節置換術後、最低経過観察期間10年、最長23年の患者様を対象としています。当時より手術技術も器械も良くなっている現在では、股関節は術後30年、膝関節は術後20年以上の成績を目指しています。 手術適応ついて 手術適応される方 以下の様な症状の方が実例としてあげられます。 日常生活に支障を来し、外にゴミを捨てに行くのも困難な方 立位・歩行時に膝の変形と痛みのため不安定で、容易に転倒されてしまう方 老老介護や日中ご家族が不在で、自分の事は自分でしなければならない方 ※関節リウマチ等の基礎疾患や家庭・社会環境により適応年齢が早まる場合もあります。 手術適応箇所にていて 年齢については、患者様の状況にもよりますので、あくまでも目安となります。 膝関節 立位・歩行が痛みで困難である 関節破壊とO脚変形が著しい 65歳以上 骨切り術や単顆型人工膝関節では対応出来ない 股関節 立位・歩行が痛みで困難である 脚長差が原因による周辺関節の痛みのある 50歳以上 骨切り術で対応ができない 利点・欠点 人工関節置換術をする利点(メリット)と欠点(デメリット) 利点(メリット) 利点は股関節・膝関節、共通です 痛みがなくなる(除痛効果) 動きがよくなる(不安定性の改善し歩容も改善) 脚長差がある場合、少なくなる。ほぼ等しくなる(下肢アライメントの改善) 欠点(デメリット) 脱臼(膝関節のみが対象で人工膝関節が外れてしまうこと) 合併症を起こす可能性がある(感染:ばい菌がついてしまうことなど) 機械の摩耗や破損 ※感染すると洗浄や2期的再置換術が必要となり、日常生活動作の低下を招くことが多くあります。 合併症について 感染、深部静脈血栓症や肺梗塞、人工関節周囲骨折、大量出血・下肢循環障害、神経損傷等が知られています。特に、糖尿病や下肢蜂窩織炎、足趾爪白癬、下肢リンパ管炎をお持ちの方は、重篤な術後感染の原因となるので、特に自己管理と注意が必要です。 深部静脈血栓症や肺梗塞は、大腿静脈や膝窩静脈など、体の深部にある静脈に血栓ができる病気ですが、当院では弾性ストッキングを履いていただきフットポンプを術中・術後に使用し、術翌日から離床してリハビリを開始する事で症候性のものはほとんど経験していません。 脱臼 転倒や正座からの立ち上がりで、屈曲/内旋/内転方向『横座り』の方向に動きが強制されると術後数年経っていても脱臼する可能性があります。 当院の発生率は1.5%程度で年末無理な姿勢で「大掃除、後方転倒」「正座からの立ち上がりに『横座り』になった」等が原因です。 ただ寝ているだけでは外れません。但し、外れた時は、自分で整復する事はほぼ不可能で、救急車等でご来院後、静脈麻酔下で整復します。 感染 過去5年間は経験していません。 一般的に糖尿病やステロイド、免疫抑制剤を常時内服しなければならない基礎疾患のある患者様や虫歯・歯槽膿漏・蓄膿症・爪白癬をお持ちの患者様は感染を起こすリスクが高いと言われています。術前よりこれらの疾患の治療をキチンと行い、術後も継続をされることをお願いします。