ひざは大腿骨(ふともも)と脛骨(すね)、膝蓋骨(ひざの皿)で構成されています。
これらの骨が靭帯、筋肉、関節のふくろなどの組織でおおわれ、関節としての機能を果たしています。
大腿骨・脛骨の接触部分は軟骨でおおわれ、その隙間にある半月板が、ひざへの負担を減らしています。
ひざを伸ばすエンジンである大腿四頭筋力の低下や靭帯の弛みにより関節内に不安定性が生じたり、O脚変形等により下肢アライメントが崩れたり、加齢や過剰な体重により軟骨変性が進むことが膝の痛みの原因となります。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

主な症状は、座っている姿勢から立つ時、歩行時、階段昇降時(特に下り)の痛み、ひざ関節の腫れ、水症(関節に水がたまる現象)です。また、ひざの曲げ伸ばしが不自由になり、正座ができなくなります。立ち上がる時に、ひざに痛みを感じ始めたら、この病気の始まりの可能性もあります。
治療として、軽度であれば手術を行わない保存療法、軽中度であれば高位脛骨骨切り術(HTO)や片側型の人工関節置換術、重度であれば人工関節置換術が行われます。
症状の進み方
![]() 初期 |
朝、ひざに違和感を覚える
立ち上がりや歩き始めの「ひざの違和感」が最も早く現れる症状です。この段階で、ひざの動作開始時に痛みがでることもありますが、この痛みは長続きせず、しばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。なお、症状の進行は、人によって様々で、朝の違和感だけがずっと続いて、痛みは発生しない人もいます。 |
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![]() 中期 |
症状が簡単には治らない
初期の症状をそのまま放置してしまうと、進行し症状が悪化していきます。まず、「痛みをはっきりと自覚するようになった」「ひざが完全に曲がりきらない」「ひざが伸びきらなくなった」「正座やしゃがみこむ等の動作が苦痛になる」といった症状がでます。階段の特に下りがつらくなってきます。また、ひざに炎症が起き、ひざの周りが腫れたり、脛(スネ)の内下方を中心に熱をもったり、膝から下がむくんだりしてきます。そして、ひざに水がたまってひざが張っているような重くだるいといった症状もでます。」だんだんO脚変形も進み、ひざに負担のかかる動きをすると骨同士が当るような感じを受けることもあります。 |
![]() 末期 |
痛みがひどくなり、日常生活に支障がでる
末期になると日常生活に支障が起こるほどの痛みになります。そのため「仕事をする」「買い物に行く」「旅行に出かける」など社会活動が思うようにできなくなります。活動範囲が狭くなり、外界からの刺激が少ない生活になります。また、徐々にストレスがたまりますので、体重が増加したりうつ状態に陥りやすくなったりします。高齢者の方の中には、家の外に出ない生活が続くと、痴呆の症状が現れてくる方もいます。末期症状では、骨の変形が相当進んでいますので、外見的にもO脚が目立つようになります。 |
大腿骨顆部骨壊死(だいたいこつかぶこつえし)
ひざ関節に接している大腿骨の先端(大腿骨顆部)の組織が壊死する病気です。
エックス線、MRI(磁気共鳴画像)検査で壊死した部位を確認することができます。壊死した組織がつぶれてしまうと、骨の一部が陥没し、痛みが増し、下肢O脚変形が進行します。
大腿骨顆部骨壊死の原因は、未だ不明ですが、中高年以降の女性に多く見られ、夜間、安静時に強い痛みを感じるなどの症状がでます。はじめは見逃されることが多いので注意が必要です。また初期や進行期に関節内に注射をしても痛みはあまり軽減されません。
症状の進み方
突然の痛みで発症することがあります。痛みは非常に強いものです。歩行時はもちろんですが、寝ていても持続性の痛みを感じることもあります。初期の激しい疼痛は、徐々に軽快して改善することもありますが、高齢者の方で骨が脆弱化(ぜいじゃくか)している場合は、骨の陥没破壊が進行し、関節軟骨も壊死するため変形性関節症になります。
症状が進行するに従いO脚変形が出現し、痛みは増強します。関節周辺が腫れ、関節水症(かんせつすいしょう)の様なひざに水がたまる症状が起こり、関節の動きが悪くなります。ひざ関節も段々とまっすぐに伸びなくなり、末期の変形性関節症となります。