スポーツは子どもから高齢者まで幅広い年齢層で行われています。
スポーツは健康づくりに役立つだけでなく、生きがいや豊かな人間関係を育む力があります。だからこそ、痛みやけがでスポーツをあきらめてほしくありません。私たちは、皆さまが安心して、長くスポーツを続けられるよう、専門的な治療とサポートを行います。
スポーツ整形外科で診療するケガは、「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2つに大きくわけることができます。

- スポーツ障害:使いすぎ(オーバーユース)によって慢性的に痛む(例:疲労骨折、野球肘)
- スポーツ外傷:一回の急激な衝撃による「急性のケガ」
代表的なスポーツ障害・外傷

スポーツ障害
スポーツ障害は、長期間のスポーツ活動で繰り返しの負荷や不適切な動作により筋肉・関節・骨に慢性的な痛みや損傷が生じる「使い過ぎ症候群」です。
野球肘、テニス肘、ジャンパー膝、シンスプリント、疲労骨折などが代表的な疾患です。
放置すると慢性化・重症化するため、早期の安静、フォーム改善、ストレッチによるケアが必要です。
スポーツ障害の主な原因
スポーツ障害は、主に以下のような原因で引き起こされます。
| オーバーユース(使い過ぎ) | 過度な動作を繰り返すことで筋肉や腱、関節に負担が蓄積し、炎症や痛みが生じます。特に成長期の子どもや、練習量が急に増えた場合に起こりやすいのが特徴です。 |
| 不適切なフォーム・動作 | 無理な体勢や間違ったフォームで動作を繰り返すことにより特定の部位に過度なストレスが集中し、痛みや損傷の原因となります。 |
| 身体機能低下・ケア不足 | ストレッチ不足や日常生活での悪い姿勢による体の固さ(筋肉の硬直)によって、ケガをしやすい状態になります。 |
| 環境・道具の問題 | 硬い地面での練習、合わない靴(インソール)の使用により障害が起こりやすくなります。 |
スポーツ外傷
スポーツ外傷は、運動中や試合中に突発的な大きな力が加わり、脳震盪や打撲、骨折、脱臼、捻挫、靭帯・筋肉の損傷(肉離れ)などが即座に生じる急性のケガです。
初期の治療とその後のリハビリテーションがとても大切で、適切な治療がなされるか否かにより、スポーツ復帰までに要する月日が大きく異なってきます。
スポーツ外傷の主な原因とタイプ
- 原因: 転倒、転落、人との接触、不自然な動作による過度な負荷
- 特徴: 明確な受傷の瞬間があり、直後から痛み、腫れ、赤み、内出血などが現れる
主な損傷の種類
| 靭帯・腱損傷 | 足関節が最多。関節がひねられて靱帯や腱が伸ばされたり、断裂したりする。 |
| 肉離れ | ダッシュやジャンプなど急な動作で筋肉が強く引き伸ばされ、筋線維が断裂する。 |
| 骨折・脱臼 | 骨折は骨が折れる・潰れる状態、脱臼は関節が本来の位置から外れる状態。 |
| 打撲・裂傷 | 強い衝撃によって筋肉や皮下組織が損傷し、皮下出血を起こす。 |
| 脳震盪 | 頭を強くぶつけた後に、一時的にぼーっとしたり気持ち悪くなったりする状態。 |
応急処置
近年、外傷後の応急処置は従来のRICE(安静・冷却中心)から、回復を促す考え方へと変化しています。
現在は「PEACE & LOVE」という概念が提唱され、急性期は適切に保護しつつ、回復期には早期から安全な範囲で運動や負荷を取り入れることが推奨されています。
炎症を過度に抑えすぎず、正しい知識のもとで段階的に回復を目指すことが重要です。
急性期:PEACE
P:Protection(保護)
受傷直後は無理な動きを避け、患部を保護して二次損傷を防ぎます。
E:Elevation(挙上)
患部を心臓より高い位置に保ち、腫脹の軽減を図ります。
A:Avoid anti-inflammatories(抗炎症薬を避ける)
炎症は自然な治癒反応の一部であり、NSAIDsや過度な冷却で過剰に抑えすぎないようにします。
C:Compression(圧迫)
弾性包帯などで適度に圧迫し、腫れや出血の拡大を抑えます。
E:Education(教育)
正しい情報を共有し、過度な安静や不安を避け、自ら回復に取り組めるよう支援します。
回復期:LOVE
L:Load(適切な負荷)
痛みの範囲内で段階的に負荷をかけ、組織の修復と機能回復を促します。
O:Optimism(前向きな心理)
ポジティブな心理状態は回復を後押しすると考えられています。
V:Vascularisation(血流促進)
軽い有酸素運動やストレッチで血流を促し、治癒環境を整えます。
E:Exercise(運動療法)
可動域・筋力・バランスを段階的に改善し、再発予防と競技復帰を目指します。