
PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)治療とは、自己の血液中にある成長因子を利用した再生医療です。
PRP治療は、すでに欧米では積極的に取り入れられており、スポーツ外傷や障害をはじめ、関節の変形や痛みでお悩みの患者様に用いられています。
人間は転んで膝を擦りむいた、刃物で指などを切ったといったケガをしても、その傷というのはやがて塞がっていき、元通りになっていきますが、それは何も消毒液や縫合処置をしたから治ったというだけのものではありません。
血液に含まれる血小板が重要な役割をしていることもあるのです。血小板には止血作用があり、傷をふさいでかさぶたを作るといった自己の治癒能力がありますが、これは血小板が血液を固めて止血をする際に傷んでしまった組織が修復しやすくなるよう成長因子が放出されることによるところが大きいのです。
また打撲や捻挫にしても、この成長因子によって治癒していくようになるのです。ちなみに血液中の血小板が少ないという方は、なかなか止血がしにくく、ケガの回復も遅れるようになります。
自己の血液中の成長因子を利用して行う再生医療
血液中に存在する成長因子を用いて自己の治癒能力を高めることで治りづらいとされる組織を修復、あるいは保護していくというのがPRP治療を行う目的です。
ただ、単に血液を採取しただけでは様々なものが含まれているので、血小板を多く含んだ血漿(多血小板血漿)のみを抽出する必要があります。
当院では、その際にGPSⅢ(高白血球多血小板血漿(L-PRP)分離・抽出キット)を用います。GPSⅢは、L-PRPの抽出に長けているとされ、その中には利用可能な血小板が9割以上含まれると言われています。 GPSⅢによるPRP治療を行うことで、患部で起きている疼痛の軽減や軟骨の破壊が抑えられるという効果が期待できるようになります。
再生医療のメリット・デメリットPRP治療の実際
患者様ご自身の血液から治療に有効とされる成分(主に血小板)だけを遠心分離機で抽出し、患部に注入することで自己の治癒能力を促進させることで、痛みを軽減させる、あるいは痛めた組織の治癒を目指す治療法です。
日帰りでの処置、処置後すぐ日常生活に戻れる、注射のみなどで痕が残りにくいという利点もありますが、痛みの一時的な除去に適した治療ではありますが、痛みの根本原因の除去や長期的な改善を望む場合には、手術をお勧めさせていただく場合があります。
治療方法についてお悩みの方はまずはお気軽にご相談ください。 患者様の症状や、ライフスタイルによって適した治療をご提案させていただきます。
治療の手順
GPSⅢシステムによるPRP治療の大まかな流れは以下の通りです。

Step1.
患者様の血液を採取します。
Step2.
専用のチューブに採取した血液を注入し、L-PRPを抽出するために遠心分離(約15分)にかけます。
Step3.
分離されたL-PRPを注射器で吸入し、それを損傷部位(患部)へ注入していくという流れになります。
治療後の注意事項
- 安静にしていると関節等の治療部位が硬くなってしまいます。
- 適度な物理的負荷を加えた運動やストレッチ等を行うようにしてください。
- 経過観察をしていく必要があるので、医師の指示通りに一定の間隔を開けて通院するようにしてください。
PRP治療の費用について
- 現時点ではPRP治療は保険が適用されない自費診療となりますので、費用は全額自己負担となります。
- 治療に同意していただいた後、治療を行います。
- 患者様のご意思でPRPを投与する前であれば、治療を止めることも可能です。
- 血液の加工途中や、加工後に治療を止める場合には、加工時に発生する医療材料等の費用は患者様のご負担となりますので予めご了承ください。