症例:74歳女性 両人工膝関節の緩み(人工関節再置換術)

未来ある「あし(下肢)」の治療の症例です。
- 患者様のご年齢、体力、状態、性別など様々な条件により、個人差がありますので、必ずしも同じ結果が得られるわけではございません。
- 手術症例は、保険適応で行っている診療です。
もう一度、夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい!
関節リウマチの既往歴があり、30年程前に他の医療機関で両膝の人工関節置換術を受けた患者様です。 膝の痛みで歩くことが辛いことを主訴に、セカンドオピニオン目的で当院を受診されました。
「もう一度、夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい。」という患者様と伴侶の方のご希望をかなえるため、リスクの説明も行った上で再置換術を提案し手術を行うことになりました。

当院受診までの経緯
他の医療機関で人工膝関節置換術を行われており、既に30年経過されていた状態での受診でした。 脛骨コンポーネントの沈下とインサート偏摩耗のため両膝の症状が年々悪化し、歩行時痛により家で過ごす時間が多くなり、自由に歩けない状態になられていました。
患者様は、「痛みを感じること無く、自由に歩ける生活に戻りたい!」とご希望されており、人工関節置換術に対応される複数の医療機関に相談をされていましたが、リスクを強調する説明ばかりをされたため、再置換術の実行については、半ば諦められていたところ当院への受診に至ったとお話されていました。
手術の状況
- 左側手術:2019年11月:入院日数:4週間
- 右側手術:2020年2月:入院日数:4週間
※患者手術は患者様のご年齢や全身状況を考慮し、左右別々に行いました。
手術前の状態
高齢であることや関節リウマチに伴う骨粗しょう症などの病気が身体的なベースにある患者様です。 画像①、②からもわかるように脛骨コンポーネントが脛骨内に陥入する事で設置位置不良となり骨破壊が懸念されていました。また屈曲拘縮を認め、ライナーの偏摩耗による破損も疑われました。
また、下肢全体:画像③を見ると両側で再内反を認め、立位で膝は完全進展できていません。この状態が膝に影響し、膝の曲げられる角度が90度(※1)となっていました。膝を曲げられる角度が90度というのは、公共交通機関で座っている時に、他の乗客の迷惑ならぬよう少し膝を曲げてスペースを作ってあげることができず、自転車にも乗れず、階段の特に下りで支持がないと降りられない状態です。



両側手術後の状態
術前レントゲン画像(画像②)と比較し再置換後(画像⑤)では、立位で膝が完全伸展出来ており、真っ直ぐに立てています。 術前膝の屈曲可動域は90度でしたが、術後は120度まで曲げられるようになりました。術前の痛みはなくなり、歩行時痛からも解放されました。


担当医師コメント
再置換術を行われる前は、ご夫婦ともに不安なお気持ちだったかと思います。 2回に渡る手術の計画に術前は不安そうにされていたのですが、1回目に左の手術を行い膝の痛みから解放されたことで不安が払しょくされ、2回目の術前には次の手術を楽しみにされるほど明るく積極的になられていました。
術後痛みから解放されたことで、沈みがちであった患者様の表情が明るくなられたこと、旦那様が奥様の立ち姿、歩き姿を見て喜んでおられたことが印象に残っています。
患者様の「夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい!」という想いに応えられ、非常に嬉しく思います。患者様ご本人はもとより、ご家族の幸せのお手伝いもできたことを素直に嬉しく思っています。 コロナ禍が収束しましたら、是非、銀座デートを楽しんでください!
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未来ある「あし(下肢)」の治療の症例です。
- 患者様のご年齢、体力、状態、性別など様々な条件により、個人差がありますので、必ずしも同じ結果が得られるわけではございません。
- 手術症例は、保険適応で行っている診療です。
これからも、仕事を元気に続けたい!
また、趣味のサーフィンをしたい!
柔道整復師を続けるために、趣味のサーフィンを復活させたい!自分の未来のために、最適治療は何かを考え決断されたそうです。 手術治療をするなら骨切り術にすると決め当院をご受診されました。
手術に至る前の診療の段階から骨切り術のできる医師を検索し探していらっしゃった患者様です。 2020年5月の緊急事態宣言により、外出もままならない今の状況下「手術をするなら、今しかない!」と両側同日にHybrid HTO(※)の手術に挑まれました。

当院受診までの経緯
2020年7月の初診時から手術治療に積極的な患者様でした。 柔道整復師・指圧師のお仕事をされていることから、ご自身の脚の状態をよく理解されていらっしゃり、10年程前から整形外科に通院、ジムに通うなどして筋力をつけることでやり過ごしていらっしゃっいました。
いよいよ「膝」の状態が悪化していき、「どうにかしないと。。。」と考え、新型コロナ感染症の影響により緊急事態宣言を出されたことでジムに通うことが難しい状況になったため、今しかない!と手術治療するなら「骨切り術」ができる医師に診てもらいたいと、ネット検索し某市民病院に来院したが、直ぐの手術対応は難しいとのことであったため、更にネット検索して自宅のある地域県外であったのですが、当院をご受診された患者様です。
手術前の状態と手術計画と結果
術前 | ||
---|---|---|
右 | 左 | |
FTA | 182.5度 | 187.4度 |
MPTA | 81 | 79.5度 |
mLDFA | 79.3度 | 99.2度 |
脛骨後傾角 | 2度 | 2度 |
手術計画 | 矯正角度(予定)
|
矯正角度(予定)
|
- 術後1~1年半程度後に金属プレートを外しますが、患者様の予後により金属プレートを外す時期が異なります。
手術の状況
- 手術実行:2020年9月
- 手術回数:1回 / 入院日数:4週間
- 両側同日の手術対応
※患者様ご自身が元々の筋力量があり、体を動かすことへの抵抗がなかったためリハビリを積極的にされていたため予後の成績が非常にいい患者様でした。
手術前レントゲン画像・膝軟骨内視鏡画像
レントゲン画像をご覧いただければわかるように、O脚が強くでています。関節軟骨が弾力性を失って遣い過ぎによりすり減って関節が変形したためO脚になっている典型的な症状があります。 軟骨が磨り減り、骨がぶつかっている状態であることが分かります。




術後25日
術前のレントゲン画像と比較しても明らかですが、脚が真っ直ぐになっていることが一目でわかります。予後のリハビリをしっかりと行っていただき筋力をつけるなどしていただくことで、消失した膝軟骨も手術をしたことによりO脚が解消され2次的に再生される可能性が考えられます。
骨切りを行った骨はプレートで補強し、骨がくっついても、筋力を落とさないために補強用プレートを1~1年半程度付けておきます。

担当医師コメント
患者様のお仕事が柔道整復師に従事されていることから、ご自分のお身体の状態をよく理解されていました。 治療方法もご自身で選択されたうえで、当院をご受診という経緯も含め、治療に積極的であったことも、非常に期待できる結果が得られそうであると思われます。埋め込まれている補強のための金属プレートを外される際の結果が楽しみな患者様です。
また、ご本人も今後のリハビリが大切であることを深く理解されていることから、今は、まだ術後3日目で痛みが残っている状態ですが、ご自身の未来への意気込みをお話しされているのを聞くと医師としても非常に嬉しく思います。
我々、病院スタッフがチームとしてサポートをしますので、辛いかもしれないリハビリも頑張っていただき、仕事に趣味のサーフィンに、どんどんチャレンジして、幸せな人生を送ってただきたいと思います!
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未来ある「あし(下肢)」の治療の症例です。
- 患者様のご年齢、体力、状態、性別など様々な条件により、個人差がありますので、必ずしも同じ結果が得られるわけではございません。
- 手術症例は、保険適応で行っている診療です。
ボランティアで広報誌(広報委員長・カメラマン&エディター)
まだまだ、やりたいことがある!
ボランティアで広報誌(広報委員長、カメラマン&エディター)を行っている患者様です。 20年くらい前から徐々に膝の状態が悪化し、10分程度の歩行が精一杯という状態でした。
「膝の痛みを軽減したい!痛みなく生活したい。」という想いから、抜本的治療はないものかとご自身でも模索され当院にご受診されました。(※受診時2019年7月)

当院受診までの経緯
39歳のときに交通事故により右肋骨骨折、両下腿骨の手術をされたとのこと。 前述したように交通事故により骨折した左膝が外傷後内反変形となり20年程前から、膝の症状が少しずつ悪化され10分程度の歩行が限度とご受診(2019年7月)されました。
手術前の状態と手術計画と結果
※左脚のみ手術
術前 | |
---|---|
左 | |
FTA | 199 |
MPTA | 71 |
mLDFA | 100 |
脛骨後傾角 | 9 |
手術計画 | 矯正角度(予定) 約10度 |
- 術後1~1年半程度後に金属プレートを外しますが、患者様の予後により金属プレートを外す時期が異なります。
手術の状況
- 手術実行:2019年10月
- 手術回数:1回 / 入院日数:5週間
手術前レントゲン画像・膝軟骨内視鏡画像
交通事故による後遺症として外傷性変形性膝関節症となった事例です。
事故後の2次性疾患として、以下の変形性膝関節症が想定されます。
- 事故の際に適切な治療が行われなかった場合
- 事故受傷で、膝関節部は不可逆的に破壊され後遺障害を残した場合
レントゲン画像の通り、左膝のみ極端な変形症状があり、診察・検査後、高位脛骨骨切り術手術対象の患者様と判断ができ外的治療の提案をいたしました。




術後4ヶ月
術前のレントゲン画像と比較しても明らかですが、脚が真っ直ぐになっているのがわかります。 脚が真っ直ぐになるということは、見た目にもキレイになっていますが、ご自身でも脚が動かしやすくなり歩きやすくなっています。
術後4ヶ月のレントゲン画像では、プレートで補強した骨は、くっつきつつある状況でした。 骨切りを行った骨はプレートで補強し、骨がくっついても、筋力を落とさないために補強用プレートを1~1年半程度付けておきます。



担当医師コメント
mLDFAが大きいため、大腿骨の矯正は断念しましたが、骨切り術で手術対応が可能であったので、予後2次的に軟骨の再生も期待ができます。
また、脚の痛みがなくなったことでご自身の可能性も広がったかと思います。ボランティア活動など「やりたいこと」を諦めない人生を!どんどん楽しんで生活をしていただきたいと思います。
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未来ある「あし(下肢)」の治療の症例です。
- 患者様のご年齢、体力、状態、性別など様々な条件により、個人差がありますので、必ずしも同じ結果が得られるわけではございません。
- 手術症例は、保険適応で行っている診療です。
スキーがしたい!
久しぶりにスキーができる?!
「膝の痛みのため、連続1時間立つ、歩くができない、日常生活が辛い。」 あし(下肢)が、よくなったら趣味であった「スキーがしたい!」という患者様の想いが高位脛骨骨切り術を行うきっかけになりました。

当院受診までの経緯
5年前(2014年ころ)から徐々に歩くことが辛く、他院で筋力をつけるためのリハビリなどを行っていらっしゃいました。 最近(※来院時2019年7月)では、膝が痛く、日常生活に支障をきたす状態(台所仕事など、家事をすることが辛い)までになり当院に受診されました。
手術前の状態と手術計画と結果
術前 | ||
---|---|---|
右 | 左 | |
FTA | 161 | 161 |
MPTA | 90 | 90 |
mLDFA | 93 | 93 |
脛骨後傾角 | 9 | 9 |
手術計画 | 矯正角度(予定)
|
矯正角度(予定)
|
- 術後1~1年半程度後に金属プレートを外しますが、患者様の予後により金属プレートを外す時期が異なります。
手術の状況
- 手術実行:2019年8月
- 手術回数:1回 / 入院日数:3週間
- 両側同日の手術対応
※患者様ご自身が元々の筋力量があり、体を動かすことへの抵抗がなかったためリハビリを積極的にされていたため予後の成績が非常によく入院日数も短い方でした。
手術前レントゲン画像・膝軟骨内視鏡画像
レントゲン画像からも分かるように、日本人には珍しく、欧米人に多い骨格のX脚の患者様です。

CT画像の白く映っているところは水が溜まっています。 また、膝軟骨が、ほとんど無い状態であるため骨が保護されていない状態です。赤丸箇所の半透明部は軟骨が残っている状態です(膝内側は軟骨が存在しています)。


膝関節の状態が正常な場合、膝関節表面は軟骨で覆われており軟骨の働きにより衝撃を和らげ、関節の動きは滑らかです。 軟骨の大幅な減少により骨と骨の間のクッションの役割がないため骨同志が直接ぶつかり痛みを伴うようになります。 また、摩耗した関節軟骨を元の完全な形に修復する方法は、現在のところ、ありません。 しかし、選択された手術法や術後の状態によっては、2次的に軟骨の再生が期待できます。
術後4ヶ月
術後4ヶ月のレントゲン画像ではプレートで補強した骨が既にくっついている状況にあります。 骨切りを行った骨はプレートで補強し、このプレートは、術後1年程度で取り外します。 骨がくっついても、筋力を落とさないために補強用プレートを1~1年半程度付けておきます。

担当医師コメント
手術により、骨の位置が正しく配置されたことで脚の形が綺麗なり喜んでいただけたと思います。 歩くことは、もちろんですが、元々、モーグルスキーをされていた患者様でしたので、スキーなどのスポーツも積極的に楽しんでいただきたいです。