
未来ある「あし(下肢)」の治療の症例です。
- 患者様のご年齢、体力、状態、性別など様々な条件により、個人差がありますので、必ずしも同じ結果が得られるわけではございません。
- 手術症例は、保険適応で行っている診療です。
もう一度、夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい!
関節リウマチの既往歴があり、30年程前に他の医療機関で両膝の人工関節置換術を受けた患者様です。 膝の痛みで歩くことが辛いことを主訴に、セカンドオピニオン目的で当院を受診されました。
「もう一度、夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい。」という患者様と伴侶の方のご希望をかなえるため、リスクの説明も行った上で再置換術を提案し手術を行うことになりました。

当院受診までの経緯
他の医療機関で人工膝関節置換術を行われており、既に30年経過されていた状態での受診でした。 脛骨コンポーネントの沈下とインサート偏摩耗のため両膝の症状が年々悪化し、歩行時痛により家で過ごす時間が多くなり、自由に歩けない状態になられていました。
患者様は、「痛みを感じること無く、自由に歩ける生活に戻りたい!」とご希望されており、人工関節置換術に対応される複数の医療機関に相談をされていましたが、リスクを強調する説明ばかりをされたため、再置換術の実行については、半ば諦められていたところ当院への受診に至ったとお話されていました。
手術の状況
- 左側手術:2019年11月:入院日数:4週間
- 右側手術:2020年2月:入院日数:4週間
※患者手術は患者様のご年齢や全身状況を考慮し、左右別々に行いました。
手術前の状態
高齢であることや関節リウマチに伴う骨粗しょう症などの病気が身体的なベースにある患者様です。 画像①、②からもわかるように脛骨コンポーネントが脛骨内に陥入する事で設置位置不良となり骨破壊が懸念されていました。また屈曲拘縮を認め、ライナーの偏摩耗による破損も疑われました。
また、下肢全体:画像③を見ると両側で再内反を認め、立位で膝は完全進展できていません。この状態が膝に影響し、膝の曲げられる角度が90度(※1)となっていました。膝を曲げられる角度が90度というのは、公共交通機関で座っている時に、他の乗客の迷惑ならぬよう少し膝を曲げてスペースを作ってあげることができず、自転車にも乗れず、階段の特に下りで支持がないと降りられない状態です。



両側手術後の状態
術前レントゲン画像(画像②)と比較し再置換後(画像⑤)では、立位で膝が完全伸展出来ており、真っ直ぐに立てています。 術前膝の屈曲可動域は90度でしたが、術後は120度まで曲げられるようになりました。術前の痛みはなくなり、歩行時痛からも解放されました。


担当医師コメント
再置換術を行われる前は、ご夫婦ともに不安なお気持ちだったかと思います。 2回に渡る手術の計画に術前は不安そうにされていたのですが、1回目に左の手術を行い膝の痛みから解放されたことで不安が払しょくされ、2回目の術前には次の手術を楽しみにされるほど明るく積極的になられていました。
術後痛みから解放されたことで、沈みがちであった患者様の表情が明るくなられたこと、旦那様が奥様の立ち姿、歩き姿を見て喜んでおられたことが印象に残っています。
患者様の「夫と銀座でデートがしたい。並んで歩きたい!」という想いに応えられ、非常に嬉しく思います。患者様ご本人はもとより、ご家族の幸せのお手伝いもできたことを素直に嬉しく思っています。 コロナ禍が収束しましたら、是非、銀座デートを楽しんでください!