頚椎部のさまざまな病変によって頚部痛、肩甲部痛、上肢の痛み、しびれが生じますが、これらの症状は筋肉の持続的な緊張を生じ、筋炎、筋膜炎の原因となり、さらに症状を悪化させる可能性があります。 頚椎は日常生活において、胸椎や腰椎に比較し、運動頻度が高く、運動範囲が大きいという特長があります。 さらに、頭部をのせる支柱の役割があるため負担がかかりやすく、症状が首の動きにより増強すると考えられます。 治療について 頚椎疾患の保存療法は、安静と薬物・装具療法、理学療法を行います。 安静と薬物・装具療法 頚椎疾患の保存療法として、まず安静と薬物療法が第一選択と考えられています。 一番の頚椎の安静位は顎を軽く引いた状態で前上方を向いた姿勢をとる状態であり、この姿勢を保持することは大切です。 しかし、痛みが強い場合には、頚椎装具を装着すれば、頚椎の安静、制動に非常に有効であり、痛みが軽快します。 鎮痛剤、筋弛緩剤の投与や、神経障害に対するビタミン剤の投与も多くの場合有効です。 理学療法 持続する症状に対しては、温熱療法、牽引療法などの物理療法が有効なことも少なくありません。温熱療法は疼痛や、筋肉の痙攣を軽減させ、血行改善が期待され、筋肉の拘縮が有る場合に特に有効と言われています。 牽引療法は頭部による頚椎への荷重を軽減し、運動を制限して安静を保ち、硬直した筋肉を緩める作用があると考えられています。 慢性に持続する症状には運動療法が行われます。 これは患者さん自身が自ら積極的に行う治療法です。拘縮や過緊張をきたした筋に対するリラクセーション、弱くなった筋力の回復、筋肉相互間のバランスの乱れを整えるなどの効果があると考えられています。 複雑な運動より、単純な体操、運動が効果的といわれておりますが、いずれにせよ短期間では十分な効果は期待できないため、根気強く継続する必要があります。